今回は介護・福祉をテーマに2011年フランスで公開された映画「最強のふたり」を紹介します。この映画は、頸椎損傷の大富豪フィリップと介護未経験の黒人青年ドリスの介護の物語です。
私自身つい介護の常識と思いがちなことも、この作品を見て“何がその人にとって本当にいいのか?”を考えさせられました。
また第24回東京国際映画祭(2011年)で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞しています。映画としてもテンポが早く、笑い・ユーモアも所々にあり、とても面白い作品です。
あらすじ『最強のふたり』
大富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は事故による頸椎損傷で首から下の感覚がなく、体を動かすことができない。新たに住み込みの介護人を探す面接にスラム街出身の黒人青年のドリス(オマール・シー)がやってくる。フィリップは介護・医療経験のある候補者がいる中から、一切介護の知識・経験のないドリスを雇うことにする。ドリスは初めての介護に戸惑いながらも、フィリップの障害を気にせずに関わっていき、親しくなっていく。
感想『最強のふたり』
本音で生きるドリスの姿がとても魅力的でした。時に無知ゆえのブラックな発言や行動もありますが、それでも障害を持つフィリップに対して一切遠慮のないドリスの存在がこの映画の一番の見どころだと思います。
例えば次のシーンも印象的な一つです。 (※ネタバレ含む)
ドリスがフィリップをドライブに連れ出すシーン
フィリップはいつも通り、車いす専用の福祉車両に乗車しようとする。
しかしそこでドリスは「嫌だよ。あんな馬みたいに後ろに乗せるなんて。」と高級スポーツカーの助手席にフィリップを乗せる。
ドリスはフィリップを障がい者としてではなく、1人の親友としてどちらに乗るのが楽しいのかを考えた結果、実用的でないスポーツカーを選ぶ。
またフィリップは友人から前科のあるドリスと距離を置くように説得される。しかしフィリップはドリスのことをこう話す。
「情けなどいらないよ
私に同情していない証拠だよ
障がい者としての同情は求めていない。」
フィリップもドリスの過去や人種を差別しません。自分が思った正直な気持ちをぶつけるからこそ、代わりのいない『最強のふたり』になっていきます。そんな二人の姿が素敵すぎる映画です。
介護の仕事で悩んだときに見ると、初心に戻れてスッキリすると思います。
あなたはどんな相手に介護してもらいたいですか?

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