こんにちは!
現役介護士のTARO(@taro26179991)です。
今回は、介護業界の大手企業を2020年度3月期決算とともに紹介します。
これから介護の業界に就職や転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
まず現在の介護業界を取り巻く環境は次のようになってます。
- 75歳以上の高齢者人口の増加『2025問題』
- 2018年要介護・要支援者数は658万人
- 2018年介護給付品費は10兆円超える
- 2025年に介護人材が約34万人が不足とされる
- ICTや介護ロボットの活用が求められる
- 外国人介護人材の受け入れ拡大
- 保険外サービスや共生型サービスの登場
- 新型コロナウィルスの対策と影響
次に介護業界の大手企業10社の売上高は次の通りです。(一部保育との売上を含む)
大手10社の売上高を合わせても7~8千億円程度で、介護業界全体の規模(10.4兆円)から考えると約7%となっています。

💡それぞれの企業を2020年3月期決算とみていきます。
ニチイ学館
在宅系から居住系介護サービスまで多彩な介護サービスを展開
【介護分野・2020年3月期決算】
売上:153,788百万円 (前年比1.5%増)
営業利益:15,857百万円 (3.2%減)
- 訪問介護拠点(1,405拠点)の再編に伴う先行投資により減益
- 外国人スタッフの受け入れや人材確保・定着を目的とした成長投資
- 2020年3月末時点で402拠点の分割・新設を完了
- 有料老人ホームを1拠点、グループホームを1拠点開設
- 利用者退去後の空き期間の短縮化を図り、稼働率向上
- 居住系介護施設の利用者増・稼働率向上により増収
SOMPOケア
介護付き有料老人ホーム「そんぽの家」やサービス付き高齢者向け住宅を展開
【2020年3月期決算】
売上:128,400百万円(前年比3.6%増)
修正利益:6,200百万円(51%増)
- 入居率の改善(そんぽの家:92.4% +0.3pt、そんぽの家S:94.0% +0.6pt、ラヴィーレ:88.5% +0.9pt)と生産性改善によるコスト削減で増益
ベネッセホールディングス
都市部の住宅地を中心に高齢者向け住宅を運営
【介護保育事業・2020年3月期決算】
売上:122,914百万円(前年比5.0%増)
営業利益:11,374百万円(0.2%減)
- 高齢者向け住宅数を前期比8ホーム拡大し、入居者数の増加で売り上げ増加
- 新型コロナウィルスの影響で新規相談者数が前年比で7~8割減少
- 今後は中・高価格帯の居住系サービスをさらに強化
ツクイ
デイサービスや在宅サービスを中心にサービスを展開
【2020年3月期決算】
売上:91,196百万円(前年比5.6%増)
営業利益:4,240百万円(2.8%増)
経常利益:3972百万円(5.0%増)
- (新規開設)デイサービス8ヵ所、グループホーム2ヵ所、訪問看護事業所8ヵ所
- デイサービスの利用率・利用者数の順調な増加(利用者数の伸長率:前年同月比+6.9%)
- 中重度者ケア体制加算や個別機能訓練加算、ADL維持加算の算定率増加
- 在宅サービス(訪問介護、訪問入浴)は、厳しい採用環境のなか人材確保が課題
- 新型コロナウイ ルス感染症予防のためのデイサービス利用控えの影響が顕著
学研
高齢者住宅やグループホームなどの居住系サービスを展開。
【高齢者福祉事業・2019年9月期決算】
売上:50,902百万円
営業利益:2,434百万円
※当連結会計年度よりメディカル・ケア・サービス(MCS)の業績を含む
- サ高住は直近1年間に11事業所を開業(累計136事業所)
- グループホーム運営中心のMCSは入居率向上で売上増と人員配置の効率的な運営で好調に推移
ユニマットリタイアメント・コミュニティ
在宅・入居系の幅広いサービスを展開し、ショートステイの業界シェア1位
【介護事業・2020年3月期決算】
売上:50,111百万円(前年比5.2%増)
営業利益:5,188百万円(0.1%増)
- 既存施設の稼働率・入居率の増加と新規施設の売上が堅調に推移
- 複合型介護施設や定期巡回を中心に新たなサービス14拠点を開設
- 食事宅配サービスや保険・保険外リハビリサービス、就労支援を組み合わせた同時一体施設、がんや難病の看取りに特化した複合施設の運営
- 2019年外国人材を受け入れ
セントケア・ホールディング
訪問入浴や訪問介護をはじめとした在宅サービスを中心に展開
【2020年3月期決算】
売上:43,167百万円(前年比5.0%増)
営業利益:1,468百万円(25.0%減)
経常利益:1,360百万円(18.9%減)
- 訪問看護や小規模多機能居宅介護、看護小規模多機能居宅介護を中心に30か所新規開設
- サービス維持の外注派遣費の増加により売上原価増
- 今後は新規拠点の早期黒字化と中重度ケア・医療ニーズの対応強化へ
ソラスト
首都圏、関西圏、名古屋地区でリハビリを重視した通所介護、訪問介護を軸にサービスを展開
【介護保育事業・2020年3月期決算】
売上:37,011百万円 (前年比31.9%増)
営業利益:2,246百万円(20.2%増)
- なごやかケアリンクを含む10件のM&A
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、感染拡大防止費用やデイサービス中心に一部利用者の利用控えの発生
ケア21
訪問介護をはじめとした在宅サービスから介護付有料老人ホームなどの施設系サービスまで幅広く展開
【2019年10月期決算】
売上:30,964百万円(前年比10.1%増)
営業利益:1,126百万円(115.7%増)
経常利益:891百万円(158.5%増)
- (在宅サービス)大阪府、東京都、兵庫県、福岡県に計7拠点を出店
- (施設サービス)東京都、大阪府、兵庫県に計8施設オープン
- 組織体制を強化のため、エリア担当者を増員で人件費負担が増加
- オープンした施設の稼働率向上のため、業績は大幅に改善
ALSOK
有料老人ホームやグループホームなどの居住系サービスを中心に展開
【介護事業・2020年決算】
売上高:28,105百万円(前年比5.7%増)
営業利益:402百万(47.4%増)
- 2020年4月より「らいふホールディング」をグループに迎える
- グループの介護会社を再編し、「ALSOKの介護」に統合
終わりに
今回は介護業界の大手企業と2020年3月期決算についてまとめてみました。
私自身が5年前に就職活動をしたときに比べると、企業の買収や統廃合が進み、介護の大手企業が少し変わっているという印象でした。
2020年3月期の企業決算では、高齢者の増加に伴い、新規施設の開設などで多くの企業で増収がみられています。特に入居系サービスでは稼働率の向上や運営効率の改善で利益も高まっています。対して、在宅系サービスは人件費や運営コストが増加していて、今後の課題となりそうです。
また3月決算の時点で新型コロナウィルスの影響でデイサービスなどの利用控えや入居系の新規相談者数の減少がすでにみられています。4・5月と緊急事態宣言でさらなる影響が出ていると考えると、特に小中規模の介護事業所の経営の悪化は避けられません。その結果、今後も大手の企業の買収は続いていくのではないでしょうか。
以上、最後までお読みいただきありがとうございます。
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