介護職が知っておきたい!『睡眠と夜勤』


こんにちは!
現役介護士のTARO(@taro26179991)です。

今回は、介護職が知っておきたい『睡眠と夜勤』について紹介します。

私も小規模多機能居宅介護で週一回程度の夜勤をやっていますが、夜勤中の頭痛や胸のムカムカ、そして翌日まで体のダルさが残り、体質的に夜勤を苦手としています。

そこで介護職の夜勤の現状夜勤が及ぼす健康被害、そして夜勤の上手な過ごし方についてまとめてみました。


介護現場における夜間勤務の現状は?

2019年の介護施設夜勤実態調査より

  • 16時間以上の長時間夜間勤務を実施している施設は61.8%
  • 2交代制(日勤・夜勤)の場合、約6割の施設で夜間は1人体制
  • 2交代制の夜勤の平均休憩時間は2時間14分
医療労働 2019年介護施設夜勤実態調査結果より

※上記調査の平均休憩時間は、就業規則で定められている休憩・仮眠時間です。実際には夜間1人体制の場合に、急な対応等に当たらなければならないこともあります。

夜間勤務に従事する介護職は、夜間の長時間の労働かつ、仮眠・休憩が十分にとれないという環境で働いている方が多いのが現状です。

睡眠の基本

まずは、睡眠について簡単に紹介していきます。

1. 概日リズム

人間には地球の24時間周期の自転に合わせて、睡眠と覚醒のリズムに24時間周期で合わせる働き【概日リズム】があります。この働きは、大脳視床下部にある視交叉上核というところから信号が出され、メラトニンなどのホルモンによって起こります。

通常、朝の起床時は覚醒状態が高く、一度昼過ぎに覚醒状態が少し低くなります(昼食過ぎの眠くなる時間帯)。その後は再び上昇し、就寝時には覚醒レベルが最低まで下がります。

ただしこの概日リズムには個人差があり、夜早く寝て翌日朝に早く起きるタイプ【朝型】と夜遅くまで起きて翌日昼過ぎまで寝るタイプ【夜型】の人がいます。

2. 睡眠サイクル

人間の睡眠レベルは、ノンレム睡眠(深い睡眠)レム睡眠の2つの睡眠状態に大きく分かれます。下図は一般的な睡眠サイクルを表したものです。

入眠直後の数十分で深い睡眠(ノンレム睡眠)に入ります。その後30分ほどでレム睡眠へ移ります。それ以降は、ノンレム睡眠とレム睡眠を約90分の周期で繰り返すとされています。また朝方になるにつれて、徐々にノンレム睡眠が増加していきます。


3. ノンレム睡眠とレム睡眠

ノンレム睡眠

  • 脳の大脳皮質の活動レベルが低下
  • 脳の老廃物の除去・傷ついた繊維の修復(成長ホルモンの分泌)
  • 意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶に関与


レム睡眠

  • 睡眠中の休息眼球運動が特徴
  • 交感神経が優位に働 き、血圧・心拍数・呼吸数が多くなる。
  • 感情と結びつく出来事記憶に関与。情動ストレスが軽減されるとされる。



夜勤の身体への影響

1. 注意力・記憶力の低下

夜間勤務の身体へ及ぼす影響として、まず夜間通して起きていることで、睡眠リズムのずれや睡眠量と質の低下が挙げられます。

睡眠量が十分に取れていない、外的要因によって質が低下すると、注意力が低下し、仕事のミスが起こりやすくなります。他にも睡眠不足による影響は、記憶力の低下や理性的な判断力の低下、脳の老化を早めることなどが分かっています。

また睡眠不足になると、無自覚に数秒間居眠りを起こします。この数秒間の居眠りは運転中の事故の原因になるため、夜勤明けの運転には特に注意が必要です!

2. 精神障害になりやすい

睡眠中のレム睡眠の段階では、精神的なストレスが緩和され、出来事の記憶のみが定着するとされています。不規則な勤務により睡眠時間が少なくなると、睡眠後半のレム睡眠が少なくなってしまいます。

もともと介護職の特徴として、対人のサービスや看取り等の精神的な大きなストレスがある中で、さらに精神的なストレスが蓄積してしまうと、うつ症状や過労死へとつながる危険性が高いです。
実際に介護職は、労災補償の精神障害の請求件数が一番多い業種となっています。

3. がんリスクの増加

夜間勤務は脳・心臓疾患や糖尿病、肥満、うつ病など様々な病気のリスクが高まることが疫学的な調査で報告されています。

特に国際がん研究機関(IARC)は夜勤を含む不規則な勤務形態は発がん性因子として【グループ2A:おそらく発がん性がある暴露状態】としています。

一例ですが、夜間勤務で乳がんのリスクが60%、大腸がんのリスクが35%高まるという報告もあります。原因として、睡眠中に本来分泌される抗酸化・抗腫瘍作用のあるメラトニンが夜勤時には人工照明によって分泌が抑制されてしまいます。他にも性ホルモンのエストロゲンが腫瘍を増大させることが分かっています。


夜勤を上手に過ごすには?

1. 夜勤中の仮眠が有効!

夜勤中の仮眠は夜間勤務の身体への影響を和らげます。具体的には以下の効果が確認されています。

  • 主観的な疲労感の軽減、パフォーマンスレベルの維持
  • 昼夜逆転の生体リズムへの影響を抑える
  • 血圧を下げる
  • 乳がんに関する性ホルモンエストロゲン分泌の抑制

可能であれば2時間程度の仮眠とることが望ましいですが、短時間の仮眠でも効果があります。夜勤中仮眠をとるために、次のことを心がけてみてください。

夜勤中に仮眠をとるために…

①深夜帯の業務量を最低限にする
②深夜にスマホの使用は極力避ける、照明も最小限に
③横になり、体と頭を休める

2. 体内時計は日勤帯に合わせる

夜勤前後の生活リズムは、日勤帯と同様に朝起きて夜寝るというリズムに合わせましょう。

夜勤明けの日中に長時間の睡眠をとってしまうと、夜間帯にぐっすり眠れなくなってしまいます。日中の睡眠はどうしても質が低くなるため、睡眠をとっても身体や頭の疲れがすっきり取れません。

夜勤明けにどうしても眠気が強い場合は、日中の睡眠は短時間(2時間以内)にとどめ、昼間に太陽の光を浴び、可能であれば運動をするなど生体リズムを調整してみてください。

3. 無理をしない

夜間勤務の身体への影響は個人の体質の差も多く影響します。人によって【朝型】【夜型】のタイプがあり、これは遺伝的な影響が強く、後天的に変えることが難しいです。

ある夜勤従事者への調査では、【朝型】夜勤従事者のほうが【夜型】と比べて、メラトニンの分泌量が低下したことや乳がんリスクが高い傾向にあることが指摘されています。

もともとの体質が夜勤に合わないという方も多くいます。その場合は無理せずに、夜勤のない・夜勤をしなくていい環境に身を置くことも大切です。

まとめ

今回は介護職の『睡眠と夜勤』についてまとめてみました。

介護職として働く上で給与面などを考えると、夜勤をしなければならないという方も多いと思います。その反面で今回紹介した夜勤が身体へ及ぼす影響も決して小さくありません。

まずは夜勤とその前後の過ごし方を工夫して、負担の少ない方法を試してみてください。その上で自身の体調と相談して、「夜勤をしない」という選択を選ぶことも大切だと思います。

以上、最後までお読みいただきありがとうございます。

本記事で感想や意見等をありましたら、Twitter(@taro26179991)までいただけると助かります。

今回参考にした資料
・看護師の長時間夜勤対策としての仮眠の効果に関する研究(松元 俊)
・よく眠るための科学が教える10の秘密/著リチャード・ワイズマン

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