こんにちは!
今回は、認知症の改善に効果が期待されるイチョウ葉成分について紹介します。
イチョウ葉成分とは
イチョウの緑葉をアセトンやエタノールで処理し、不溶物や有害成分を除いて凝縮したもの。イチョウ葉フラボノイド配糖体やテンペンラクトンを成分として含む。ドイツなどヨーロッパでは、血流改善の目的で古くから医薬品として利用されてきた。俗に、「血液循環を良くする」「ボケを予防する」と言われ、特に記憶能力との関連が注目されている。
イチョウ葉成分の効果
イチョウ葉成分の効果として、科学的な論文では次の有効性が示されています。
- 末梢の動脈閉鎖症の患者の歩行時の痛みの改善
- 脳血管性およびアルツハイマー認知症の認知機能の改善
- 糖尿病由来の網膜症における色認識の改善
- 月経前症候群の症状緩和
今回は認知症の改善について掘り下げていきます。
軽度~中程度の認知症患者の認知機能改善
軽度~中程度の認知症患者へのイチョウ葉成分については複数の研究があります。それら複数の研究結果を総合すると、イチョウ葉成分は記憶や注意力、認知機能の改善に有益であることが示されています。
さらにある研究では、認知症薬のドネペジルとイチョウ葉成分の効果を比較すると、認知機能の改善は同程度であるともされています。
イチョウ葉成分の作用
培養液やマウスでの実験で、イチョウ葉成分はアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβの蓄積を防いだり、抗酸化作用により神経保護することが示されています。それによって、記憶力や認知機能の改善、また認知症の進行を抑えると考えられています。
85歳以上高齢者の認知症発症を予防
オレゴン州の医療機関の研究では、イチョウ葉成分投与による85歳以上の正常な高齢者の認知障害への進行の遅延について調査しています。
85歳以上の認知症を発症していない高齢者118人に対象に、約42か月間イチョウ葉成分投与の比較実験をしています。その際、認知障害のない状態から軽度認知症の状態へ進行する速さを検討しています。
結果(軽度認知症への進行する可能性)
イチョウ葉成分摂取:35.4人/1,000人・年
プラセボグループ:80.4人/1,000人・年
※処方通りの服薬を条件
イチョウ葉成分摂取によって、高齢者の認知症を発症する可能性が低下しています。またこの実験では、記憶力の低下も抑制されていました。
イチョウ葉エキスの摂取方法
日本では機能性表示食品として、各メーカがサプリメントとして販売しています。(機能性表示食品:各事業所の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品)
サプリメント以外にも、イチョウ葉成分を含む「記憶力を維持するガム」という製品がロッテより発売されています。
安全性・注意点は?
成分規格を有するイチョウ葉成分は1日240 mg以下の摂取が一般的で安全と考えられています。
※1,ただし成分規格のない粗悪品もあり、注意が必要な場合もあります。
【一般的な成分規格:フラボノイド配糖体 (22~27%) 、テルペンラクトン (5~7%) 、有害成分のギンコール酸 (5 ppm以下) 】
※2,妊娠や授乳中における摂取は安全性が確認できていないため、服用を避けた方がいいようです。ごくまれに胃や腸の不快感、頭痛、めまい、動悸、便秘、皮膚アレルギー反応などが起こる可能性もありますので、服用の際はご注意ください。
いかがだったでしょうか?
イチョウ葉成分については、血流改善やボケ防止、記憶力向上など様々な効果が言われています。ただし科学的な根拠はばらつきが多く、必ずしもすべてに効果があるわけではないようです。
イチョウ葉成分の認知症予防・治療は多くの研究があり、高齢者の初期の認知症の予防・治療に関しては一定の効果が期待されています。また服薬を開始する際は、医師や薬剤師へ相談してみてください。
参考資料
・Ginkgo biloba extract EGb 761® in the symptomatic treatment of mild‑to‑moderate dementia: a profile of its use(Kate McKeage1· Katherine A. Lyseng‑Williamson)
・A randomized placebo-controlled trial of Ginkgo biloba for the prevention of cognitive decline.(H.H. Dodge, PhD, T. Zitzelberger, MPH, B.S. Oken, MD, D. Howieson, PhD, ABPP, and J. Kaye, MD)
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