【認知症ケア】ロジカルケアとラテラルケアとは?

こんにちは、現役介護士TARO(@taro26179991)です!

今回は「認知症イノベーション 」(著・阿久根賢一)という本を紹介していきます。この本では著者らが運営する老人ホーム「豊泉家」での16年間の認知症ケアの実践や研究がまとめられています。

次のような方におススメの一冊です!

  • 新しく認知症ケアについて学んでみたい
  • 認知症の方の対応で悩みを抱えている
  • 認知症ケアの実践例をたくさん知りたい




ロジカルケアとラテラルケアとは?


この本では認知症ケアを実践する中で確立された【ロジカルケア】と【ラテラルケア】という二つのケアが登場します。もともとロジカルとは「論理的な、理にかなった」、ラテラルとは「横の、水平な」という意味を持ちますが、次のように紹介がされています。

ロジカルケア(事実受容支援)

認知症によって今現在の状況が分からなくなって混乱している方に対して、介護スタッフが事実を伝え、本人が事実を受け入れられるように支援する。

例えば、認知症の中核症状の一つに時間や場所が分からなくなる見当識障害がありますが、現在の時間や場所が分からなくなり、混乱されている認知症の方に対して、その事実(時間や場所)を伝えます。

簡単そうに見えますが、認知症の方がしっかりと理解できる形で伝えることがポイントです。認知症の進行とともに短期記憶や理解力も低下するので、その方に合わせたコミュニケーションが必要になってきます。本書内では、トイレや居室の場所が分からない認知症の方に対して、一目で分かりやすい張り紙を設置するなどの実践例がいくつも紹介されています。

ラテラルケア(現実肯定支援)

本人が理解している世界を現実として捉え、今現在の事実を理解できない方に対して、本人の現実に介護スタッフがチャンネルを合わせて、その人の現実を肯定しながら支援する。

例えば、現在と過去の記憶が混同したり、他者の認識が上手くできず、介護スタッフを親族の誰か(息子・娘など)と勘違いされることがあります。その方へ事実をそのまま伝えても、本人は受け入れられずに不信感を抱いてしまいます。こういった時には、無理に否定せずに、本人の理解している世界に合わせてを話を聞きます。

ラテラルケアの場合には、相手がどういった世界にいるのか?を理解するために、これまでの生活歴や家族関係を事前に把握しておく必要があります。そして、その場で相手の話す内容から今いる世界を推測し、対応を変化させていきます。

以上がロジカルケアとラテラルケアの簡単な説明になります。

認知症ケアはこの二つのケアの使い分けが大切

豊泉家では、徹底したアセスメントを行うために、独自のアセスメントシートを導入しているとのことです。これまでの生活歴や家族・友人関係、身体や認知機能、一日の生活リズム、よく見られる発言・行動、日々の表情までを細かく分析し、検討していきます。そして実際の現場で、どういった情報が受け入れやすいかや時間や状況によって変化はあるかを観察しながら、ロジカルケアとラテラルケアを取り入れていきます。

さらに詳しく知りたい方は、豊泉家の認知症ケアも参考にしてみてください。


感想『認知症イノベーション』

ロジカルケアとラテラルケアという言葉自体は初めて聞きましたが、実践の内容を見ていくと、私自身も認知症ケアの現場で心当たりがあるものでした。おそらく介護経験がそれなりにある方でしたら、認知症の方に対して事実を分かりやすく伝える、相手の世界に合わせるという関わりをしたことがある方も多いのではないでしょうか。

この本では、その二つのケアについて実践例を交えながら、分かりやすく解説しています。二つのケアのポイントや工夫、独自のアセスメント方法、認知症対応のコツなど、これから認知症ケアを始める方~既に経験がある方まで、すぐに現場で役に立つ内容になっていると思います。

またこれまで認知症ケアの現場では、対応の個別性が高く、その場の状況で臨機応変な対応が求められるため、個人の経験を元に対応するケースが多かったと思います。しかし新人職員への教育や現場全体の介護の質を高めるためには、現場でのトライ&エラーを積み重ねていく必要があります。「どうしたら上手くいくか?」と仮説を立て、実践し、検証していく中で、ケアの方法が確立されていきます。


最後までお読みいただきありがとうございます。
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